内閣府(防災担当)の「平成22年度アジア各国等の防災力強化支援事業」の一環として、アジア防災センターとNEMA(NATIONAL EMERGENCY MANAGEMENT AGENCY/モンゴル)から依頼を受けて、モンゴルの首都ウランバートルにてイザ!カエルキャラバン!を実施しました。本プロジェクトでは、現地の方々によってイザ!カエルキャラバン!が継続開催出来るように、2ヶ所のモデル校を対象に、NEMA職員・学校教員向けと生徒向けの事前研修、イザ!カエルキャラバン!本番の流れで行いました。現在、モンゴルでは急激な都市化が進んでおり、コミュニティも発達していないということで、まずは、自分の身や友人・家族を助けるための防災の知恵や技を伝えるプログラムを中心にセレクトしています。また、モンゴルでは、これまで地震が少なかったため避難訓練もほとんど行われておらず、アジア防災センターのレクチャーにより、避難訓練も実施されました。
NEMA職員・学校教員向け事前研修(2011年2月15日~16日)
イザ!カエルキャラバン!の開発経緯を始め、インドネシアや中米などでの海外展開について説明しました。海外展開については、各国々で自主的にプログラムをアレンジしてカエルキャラバンを実施している事例として紹介しています。そして、本番に向けて、各防災体験プログラムを実施するためのノウハウもレクチャーしました。
ジャッキアップゲーム
毛布で担架タイムトライアル
バケツリレー
紙食器づくり
なまずの学校
生徒向け事前研修(2011年2月15日~16日)
地震についてほとんど知らない生徒が多いため、まずは、阪神淡路大震災の記録映像などを用いて、その恐ろしさを感じてもらい、防災の重要さを伝えました。そして、クイズなどを織り交ぜながら様々な防災の技や知恵を紹介しました。本研修に参加している生徒は7~8年生(中学校1~2年生)で、中には赤十字のボランティア活動に参加している生徒も多数いました。
地震の記録映像の鑑賞
家具転倒防止ワークショップ
持ち出し品なぁに?クイズ
応急手当ワークショップ
紙食器づくり
毛布で担架タイムトライアル
なまずの学校
防災体操
イザ!カエルキャラバン!本番(2011年2月17日~18日)
学校の講堂を使ってイザ!カエルキャラバン!を実施しました。おもちゃの流通状況も日本とは異なるため、かえっこバザールは実施しないで、参加する生徒を約6名ずつのチームに分け、各防災体験プログラムに点数を設けてチーム毎に総合得点を競い合う形で行いました。この仕組みは、NEMAの職員が工夫して考え、運動会のようなカエルキャラバンとなりました。
持ち出し品なぁに?クイズ
ジャッキアップゲーム
毛布で担架タイムトライアル(カエル人形だけではなく人も運んでいました。)
応急手当ワークショップ
紙食器づくり
なまずの学校
得点集計
表彰式(高得点のチームから生徒に表彰状とオモチャが渡されました。)
避難訓練(2011年2月17日~18日)
日本の避難訓練と同じように、まず、生徒は机の下に隠れ、合図と同時に外の広場に避難しました。広場では応急手当、シューター訓練、消火訓練、さらに、カエルキャラバンのプログラムでもある水消火器で的当てゲームやバケツリレーも避難訓練と合わせて行われました。
机の下で身を守る
避難
シューター訓練
応急手当(ケガ人役の顔には血が描かれていて手が込んでいます。)
消火訓練
水消火器で的当てゲーム
現地制作の的(炎の部分に当てるとNEMAのロゴが現れます。)
バケツ消火で的当てゲーム(大きな旗を用いて、オリジナルの的が制作されていました。)
バケツリレー(気温-20℃の中、頑張って訓練しています。)
イザ!カエルキャラバン!の企画は2010年12月より始動したのですが、アジア防災センターはもちろん、NEMAの職員を中心とした現地の方々が精力的に取り組み実現しました。短い準備期間にも関わらず、水消火器の的やカエル人形が制作されており、その行動力には驚かされました。また、教員や生徒も一生懸命であり、研修中、生徒からの挙手や発言も多くありました。NEMA職員、学校の教員、生徒が一丸となって取り組む様子は、防災を軸とした地域コミュニティ活性化の可能性も伺え、日本における今後の活動への学びとなりました。これからも、モンゴルの防災力向上を目指してサポートしていきたいと思います。
モンゴル版 カエル人形(なぜか服を着ています。)
集合写真