5月29日~30日の2日間、モンゴルの首都ウランバートル市において「地震災害軽減啓発キャンペーン」が開催されました。
JICA技術協力プロジェクト「ウランバートル市地震防災能力強化プロジェクト」の一つで、
プラス・アーツは、昨年9月、現地に赴いて準備のお手伝いしており、今回は、その本番のイベントとなります。
残念ながら、本番は現地支援が出来なかったのですが、関係者の方より当日の様子を伺いましたので報告します。
※準備ワークショップの報告はこちら⇒
http://kaerulab.exblog.jp/18601860/
モンゴルでは初めてのイベントだったので、準備や広報等に反省点があったそうですが、子どもからお年寄りまで幅広い年齢層の参加があり、また、お金をかけなくとも工夫次第でイベントが実施できるということをモンゴル関係者も学ばれたようです。なお、今後JICAプロジェクトでは副首相に成果発表を行う予定とのことです。継続的な活動を期待すると共に、協力関係を続けていければと思います。
≪開催概要≫
日時:2013年5月29日(水)10時~16時、30日(木)10時~15時
場所:ウランバートル市「勝利の広場」、EMDC講堂
実施プログラム:
・オープニングセレモニー(29日10時~10時45分)
・学校対抗戦(29日11時~13時)※表彰式は12時30分~13時
・体験プログラム、展示(29日10時~16時、30日10時~15時)
・絵画コンテスト
・セミナー(30日10時~11時30分)
対象者:ウランバートル市民、防災関係者
主催:ウランバートル市非常事態局(EMDC)、ウランバートル市、JICAプロジェクト
共催:モンゴル赤十字社、科学アカデミー、ウランバートル市保健局、
ウランバートル市教育局、ウランバートル市監査局
協力:ノミン株式会社、モンゴル保険会社、Utilis.Sas(Open Mongolia)
オープニングセレモニー
NEMA(NATIONAL EMERGENCY MANAGEMENT AGENCY)長官とウランバートル市副市長による開会挨拶から始まり、日本からはJICAモンゴル事務所長が挨拶しました。
また、小学生の合唱、ソンギノハイルハン区音楽隊の演奏、体操といった演出もあり、参加者の実施意欲を高めるセレモニーが行われました。
学校対抗戦
4つの防災体験プログラムに得点を付けて、その合計得点を学校単位で競い合う「学校対抗戦」が行われました。ウランバートル市内の4地区50校が本対抗戦に参加しており、5月初旬~24日に実施された予選を勝ち抜いた4校が29日の本戦に出場しました。
参加できる対象学年はグレード7(日本の中学校1年生)、実施プログラムは、ジャッキアップゲーム、毛布で担架タイムトライアル、非常時持ち出し品クイズ、バケツリレーです。参加している子どもたちからは、競技中の真剣な表情や表彰状授与等での笑顔が見られ、楽しみながらしっかりと防災を学んでいる様子が伺えました。
また、ウランバートル市内には、今回参加した4地区以外にも5地区あり、来年は、全地区が参加する学校対抗戦の実施を検討されるそうです。学校を軸にした今後の普及啓発に期待したいと思います。
体験プログラム・展示
子どもから大人まで、たくさんの一般市民が防災を学べるよう様々な体験プログラムや展示が行われました。あまり地震を経験していない国ですが、各プログラムへの参加者の反応は良く、市民は防災に少なからず関心を持っていることが伺えたようです。
体験プログラム:
振動台、地震ザブトン、振動実験教材「紙ぶるる君」、家具転倒防止、水消火器による消火訓練、応急手当、ロープワーク、紙食器づくり、さいころゲーム
展示:
防災グッズ(救急セット、応急手当用品、非常食、その他日本の防災グッズ)緊急対応車両、捜索救助機材、消火器、非常事態局・教育局・科学アカデミー・JICAプロジェクトによる展示
<振動台>
モンゴルで初めて試作した振動台です。実際の地震の揺れを再現するまでには至らなかったようですが、参加者の関心はかなり高く、今後の改善が期待されます。
<地震サブトン>
日本から地震シミュレーター「地震ザブトン」が持ち込まれ、2日間で合計290人が、地震の揺れを映像と共に体験しました。参加者からは、地震への不安や、建築物の安全性への配慮等、地震対策の充実を求めるコメントがあったようです。
<家具転倒防止/振動実験教材「紙ぶるる君」>
プラス・アーツより資機材を貸し出して、家具の転倒防止対策の重要性等を伝えるプログラムが行われました。家具をネジで止めたり、新聞紙やダンボール箱など身の回りのものを活用したりといった対策は伝えられたようですが、日本のように家具転倒防止グッズが販売されていないので、そこの改善が今後求められるとのことです。
また、家具転倒防止の隣では「紙ぶるる君」も実施され、教材を持って帰る方もいる等、とても人気だったようです。
<防災グッズの展示>
非常食の展示では、干し肉や牛肉缶詰(プルタブ)等のモンゴルならではのメニューが展示紹介されました。
また、手動の充電ラジオやLEDライト等の日本の防災グッズも展示されていたのですが、たくさんの方が関心を持って購入を希望される等、防災グッズの需要も伺えたようです。
<非常事態局・教育局・科学アカデミー・JICAプロジェクトの展示>
JICAプロジェクトの展示では、ウランバートル市の被害想定等が報告され、モンゴルの赤十字等、本展示にかなり関心を持たれたようです。その他、科学アカデミーによる地震の解説、非常事態局や教育局による活動の紹介といった展示が行われました。
絵画コンテスト
日本で行われているポスターコンクールを参考にして、モンゴル初の防災絵画コンテストが実施されました。本コンテストは、モンゴル保険会社の資金援助により実施しており、民間との協働の可能性が示されていました。JICAプロジェクトからは、絵画を今回のイベントで展示するだけでなく、カレンダーに使用する等、活用していく大切さを伝えられたようです。
セミナー
ウランバートル市内における学校や区の防災担当者を対象に、防災セミナーが行われました。科学アカデミーやJICAプロジェクトによって、地震のメカニズムやウランバートル市の被害想定、生活への影響等の話がされ、約239名の参加者が熱心にメモを取りながら聞いていたようです。